音響熟成木材のもとになる木は、南九州の森から伐り出す杉です。
南九州産の杉の活用の歴史は古く、今から370年ほど前の江戸時代初期元和年間、お殿様では徳川秀忠、家光の時代まで遡ります。
その時代、飫肥藩などの財政を助けるために多くの杉が植林されました。
南九州は湿気が多く、台風の影響を受けやすい地域であったため、その過酷な環境に育つ南九州産の杉は樹脂分を多く含み、ねばりを持ち、水に強くて腐りにくい特徴を備えることになりました。
また、南国の活発なシロアリから身を守るための防蟻成分をあわせ持ち、古くから船を造る「弁甲材」や建築材として重宝されてきました。
杉の学名は「クリプトメリア・ジャポニカ」。「隠れた日本の財産」という意味です。日本人が昔から馴染んで来た杉の中でも、南九州産の杉は、吉野、尾鷲、天竜、日田などと並び、全国に名高い杉のひとつです。
木材の質を決めるのは、「乾燥方法」。
時と手間をかけて自然に乾燥させる「自然乾燥」と、熱風やスチームなどの高熱を利用して人工的に乾燥させる「機械乾燥」があります。
木材にとっては、もちろん自然乾燥が良いのですが、時間がかかり、乾燥途中で割れたり変形したりしてロスも多いため、非常にコスト高になります。
逆に機械乾燥は短時間ですむため、多くの木材が機械乾燥を採用しています。しかし、機械によって一気に高温で乾燥させるため、木材の最も大切な油分やエキスが水分と共に蒸発、同時に木の細胞が破壊され、木本来の力が失われてしまうデメリットがあります。
「音響熟成」とは、常温熟成庫の中でクラシック音楽を聴かせ、じっくりと熟成乾燥させる方法です。
音響熟成は、天候や気温に合わせ、木の様子を確かめながら、手間をおしまず、微妙な調整をしながら熟成していきます。
音響熟成木材の一本一本には全て番号が付けられ、厳しい品質管理でその質をより高めています。
音響熟成であれば、木の細胞が破壊されることなく、木材の持つ油分やエキスがそのまま残り、保湿作用・保水作用・防菌作用を持ち合わせ、時間とともに美しいツヤも出てくるという、まさに「生きた素材」に仕上がります。
木が持つ本来の力を生かすことで、人の免疫力をアップさせるなど、暮らしを快適で心地よくする様々な効果が生み出されます。